図書情報室

ひれふせ、女たち ミソジニーの論理

05/マ

ケイト・マン/著 小川芳範/訳 慶応義塾大学出版会 05/マ

慶応義塾大学出版会

タイトルにもある「ミソジニー」とは、「女性嫌悪」や「女性蔑視」と訳され、女性に対する根深い偏見の数々を言う。しかし本書では、その根深い偏見を分析哲学的アプローチにより改めて定義し直し、それが社会生活や政治の場においてどのように機能しているのかを明らかにしている。
「ミソジニスト(に)敗北する」の章では、私たちの記憶に新しいドナルド・トランプとヒラリー・クリントンのアメリカ大統領選を例に、男と女が争うとき、ジェンダー・バイアスにより女性は否定的に評価され、勝利することが困難になると論じており、ミソジニーには女性を「ひれふせ」させるための行動ないし戦略が無数に含まれているという。ミソジニーの論理を理解するための一助になる1冊である。

日本の家族と戸籍 なぜ「夫婦と未婚の子」単位なのか

23/シ

下夷美幸/著

東京大学出版会

戦後の戸籍法に焦点をあて、「戦後の戸籍はどうして家族単位になったのか」「家族単位の戸籍は戦後の家族にどのように作用したのか」について、制度導入に関わった法学者や法務官僚の「回顧録」や新聞の「身の上相談」欄に掲載された戸籍をめぐる相談を取り上げ分析している。
1947年の戸籍法改正から既に70年以上が経過し、日本の社会も家族も、戸籍をとりまく状況もさらに大きく変化している。戸籍が家族単位であることは、決して自明なことではなく、今取り組むべきことは、家族単位から個人単位に改めること、戸籍の呪縛から日本の家族を解放することだと筆者は断言する。
日本の戸籍制度について、戸籍と家族の視点から日本社会を考えてみるのはどうか。

韓国・フェミニズム・日本

105/カ

斎藤 真理子/責任編集

河出書房新社

「韓国・フェミニズム・日本」と題した特集を組み、86年ぶりの3刷となった文芸誌『文藝』。その特集の増補決定版が、『完全版』として出版された。
ここでは、ベストセラーとなっている『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョ・ナムジュによる短編小説をはじめ、シンガー・ソングライターのイ・ラン、新世代のフェミニスト作家ユン・イヒョンなど、女性作家の奮闘目覚ましい韓国文学の最前線が紹介されている。
最も欠かせないのがフェミニズムの視点だ。世界的な「MeToo」運動の中、女性作家のほとんどがフェミニズムという言葉や概念を自然に標榜している、と責任編集を行った斎藤真理子は語る。
フェミニズムに興味がある方だけでなく、面白い小説を読みたいと思った方、社会と世界について考えたい方々にもぜひ読んでいただきたい。


仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!

52/コ

小島慶子/著

日経BP

エッセイストでタレントの著者は、仕事と子育ての両立のために、自分も夫も何度も泣いて奮闘したという。でもそこから立ち上がって、道を切り開いてきた彼女の言葉にはとても力がある。今困っているママ達・パパ達に、「もしも今、毎日作る子どものお弁当の中身に罪悪感があるなら、後ろめたく思わなくていい。子どもの目を覗き込んだ時に、そこに信頼と安らぎの光が宿っているなら、それでいい。」とそっと肯定してくれる。
少子化社会では、子育てしている人の声は少数派扱いされる。けれど子育てしている私たちが抱えている生きづらさは、この社会の不寛容さを象徴するものである。働き方、教育のあり方、貧困、家族、あらゆる問題が子育ての現場にはある。子育てとは何の関係もないと思っている人の抱える生きづらさとも通じている。声を上げることで、子育て世代がその事実を伝える使命を負っていると励ましてくれる。

北欧に学ぶ 好きな人ができたら、どうする?

YA/へ

アンネッテ・ヘアツォーク/著 枇谷玲子/訳

晶文社

好きな人ができた!どうしたらいいのかわからない!どうしてこんな気持ちになるのかな?
ページを前からめくると女の子の視点からの物語、後ろは男の子の視点からの物語が始まり、本の真ん中で二人は出会うという構成が面白い。
思春期にぶつかる心と体の問題を、脳やホルモンの仕組み、文化の違い、避妊具の役割など様々な角度から漫画で描かれている。ティーンエイジが手に取るには、恥ずかしさがあるかもしれないが、ぜひ、そんな年頃の女の子・男の子たちに読んで欲しい1冊。

ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか

08/ギ

レイチェル・ギーザ/著 冨田直子/訳

DU BOOKS

男女間の不均衡はいまだに様々な社会問題をもたらしているが、女性が男性同様の機会を持つことも増え、そのための教育と励ましが女性と女の子たちに向けられている。
では、男の子に対してはどうだろうか。
社会から、学校から、男の子はどのように見られているのか。男の子の成長にスポーツがどんな影響をもたらすのか。さらには男子限定の性教育授業への取材を通して、男の子たちにいかにして独善的・画一的でない「男性性」を得させるかを考える。
男の子が男らしく育つのはなぜなのか。著者の息子が10歳頃のこと。いつの間にか"男社会の振る舞い"を身につけている!と気づいた時のなんとも複雑な思いに共感する。